
バスケットボールコーチの鈴村です。
「オールコートで当たれと言われるけど、毎回簡単に抜かれる」
「プレッシャーをかけた瞬間に、逆サイドを取られる」
身長やスピードで勝てない小さいガードでも、オールコートディフェンスはやり方次第でチームへの一番の武器になります。
守れるガードは、点が取れなくても試合に出る理由ができるからです。
この記事では、小さいガードがオールコートで抜かれなくなるための3つを、動画とあわせて解説します。
オールコートで抜かれるガードに共通していること
簡単に抜かれてしまうガードには、はっきりした共通点があります。
相手に正面を向かせてしまっていることです。
正面を向かれると、相手は右にも左にも行けます。
こちらが左側についていれば、逆サイドへドリブルされて終わりです。
ここを直さないまま足を速くしようとしても、追いつきません。
逆に言えば、相手の選択肢を1本に絞れれば、あとはついていくだけになります。
身長もスピードも関係ありません。
【1】正面を向かせない
ボールが入った瞬間に「引く」
相手にボールが入った瞬間、詰めるのではなく、まず引いてください。
詰めると相手は正面を向けます。
引くことで相手は横を向いたまま運ぶことになり、行けるコースが限定されます。
あとはドリブルに対してついていく形になります。
オールコートディフェンスの狙いは、その場で奪うことではありません。
前を向かせずに、時間をかけて運ばせることです。
相手が24秒のうち10秒をボール運びに使えば、それだけでオフェンスは苦しくなります。

図1 正面を向かせるかどうかで「選択肢の数」が変わる
スライドは1〜2タッチまで
スライドで守る場合、ワンタッチから2タッチまでに抑えてください。
2タッチなら、コースは閉じたままです。

2タッチで守る(コースが閉じたまま)
ところが3タッチ目まで行くと、だんだんコースを開けてしまいます。
そこを突かれて抜かれます。

3タッチ目でコースが開いて抜かれる
2タッチで守るときはコンタクトする
2タッチで守るときにコンタクトを入れると、より効果的になります。
触れていることで相手はスピードに乗れず、こちらは相手の動き出しを感じ取れます。
【2】クロスステップで正面に入る
スライドで守り切れなかったときのリカバリー
正面を向かせないようにスライドで守ろうとしても、オフェンスのスキルが上回れば突破されそうになります。
そこで使うのがクロスステップです。
抜かれかけたらクロスステップで追いつき、追いついたら正面に入ってください。
スライドのまま追いかけても、間に合いません。

クロスステップで追いついて正面に入る
正面に入っても切り返されてしまう人へ
追いついて正面に入ったのに、そこから切り返されて簡単にやられてしまう。
これは止まり方に原因があります。
対処は2つです。
ひとつはストップをホップにすること。
両足で同時に着けば、どちらにも返せます。

ホップで止まって切り返しに対応する
もうひとつがスイッチフットです。
相手の動きに合わせて足を入れ替えます。

スイッチフットで相手の動きに対応する
【3】ディフェンスジャブ
背中や腰で運ばれるのが一番やっかい
オフェンスが背中や腰を使ってボールを運んでくる形があります。
これをそのまま運ばれてしまうのが、一番まずいパターンです。
「もっとプレッシャーかけろ」が逆効果になる理由
そのまま運ばれると、ベンチから「もっとプレッシャーをかけろ」と言われます。
そして言われたとおりに詰めた瞬間、反対側をやられます。
相手はこちらが詰めてくるのを待っているからです。
ここで必要なのは、詰めることではなく相手が攻めてくるタイミングを先に知ることです。
ひじをたたんで触る、そして引く
相手が背中や腰で運んでくる場合は、ワンアームをたたんだ状態で、触った状態を保って守ります。
相手がいつ正面を向いてくるか分かりません。
だから触れておいて、攻めてくるタイミングを予測します。
そのうえで、オフェンスのジャブステップのように触ったら引く、触ったら引くを繰り返します。
これがディフェンスジャブです。

ディフェンスジャブ(触ったら引くを繰り返す)
触ったら引くをしておくと、引いた瞬間に相手が正面を向いてきても、ちゃんとコースに入って守れます。
詰めっぱなしだと、この反応ができません。
3つの使い分け
相手の運び方によって、使うものが変わります。

図2 相手の運び方で、使う守り方を変える
| 相手の状態 | 使うもの | 外してはいけない点 |
|---|---|---|
| まだ横向き | 正面を向かせない | ボールが入った瞬間に引く。スライドは1〜2タッチまで |
| 正面を向かれた | クロスステップで正面に入る | 追いついたら必ず正面に入る。止まり方はホップかスイッチフット |
| 背中・腰で運んでくる | ディフェンスジャブ | 詰めっぱなしにしない。触ったら引くを繰り返す |
動画でも解説しています
実際の動きは動画のほうが分かりやすいので、あわせて見てください。
よくある質問
Q. 身長が低くてもオールコートで守れますか
A. 守れます。
ここで使っているのは、相手の選択肢を減らす技術であって、身長やリーチで勝つ技術ではありません。
むしろ低い姿勢を保てる分、小さい選手のほうが有利な場面もあります。
Q. 詰めろと言われるのですが、引いていいのですか
A. 引くのは最初の一瞬だけです。
目的は相手に正面を向かせないことで、下がり続けることではありません。
横を向かせたら、そこからは離れずについていきます。
Q. スライドが3タッチになってしまいます
A. 距離を詰めようとして足数が増えているはずです。
先にスライドの蹴り方そのものを見直したほうが早いです。
まとめ
オールコートで抜かれるのは、足が遅いからではありません。
相手に正面を向かせてしまっているからです。
ボールが入った瞬間に引いて横を向かせる。
スライドは1〜2タッチまで。
抜かれかけたらクロスステップで追いついて正面に入る。
背中や腰で運んでくる相手には、触ったら引くを繰り返す。
この3つができれば、得点が取れない日でもチームに貢献できます。
守れるガードは、試合に出る理由ができます。
あわせて読みたい
オールコートの前に、まずスライドの蹴り方から見直してください。
相手の動きに一瞬で反応するための3つのドリルはこちらです。
抜かれかけたときのクロスステップは、こちらで詳しく解説しています。
攻める側の考え方を知っておくと、守りが速くなります。





